12日の香港株式市場は続伸。ハンセン指数の終値は前週末比170.70pt(0.62%)高の27,515.24ptだった。前週末の米株高や中国人民銀行(中央銀行)の預金準備率の引き下げ発表、12日の上海株高などを受け、投資家が運用リスクをとる姿勢を強めた。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は続伸し、前週末比1.13%高だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで5億8200万香港ドルの売り越し。香港メーンボードの売買代金は1546億香港ドルと、前週末から2割弱減った。
12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比126ドル02セント(0.4%)高の34,996ドル18セントと連日で過去最高値を更新した。今週から2021年4~6月期決算の発表シーズンが始まる予定。先陣を切る大手金融株を中心に決算発表に先回りした買いが入った。米長期金利の低下に一服感が広がったことも、市場心理の改善につながった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、前週末比31.321pt(0.2%)高の14,733.240ptと過去最高値を更新。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は前週末比15.08ptポイント(0.3%)高の4,384.63ptと過去最高値を更新した。
13日の香港株式市場でハンセン指数は高寄り後もみ合いか。前日の米株式市場でダウ工業株30種平均など主要3指数がそろって最高値を更新した流れを受け、香港市場でも買いが先行しそうだ。もっとも、ハンセン指数は既に2日続伸となっており、利益確定売りなども出やすい状況か。買い一巡後は方向感に乏しい展開となりそうだ。本日は中国の6月貿易統計が発表される予定。6月は輸出入ともに前月からの伸び鈍化が見込まれている。中国景気や世界景気の現状を見る上でも注目されそうだ。
(マーケット支援部 井上)
政策関連銘柄中心に確りの展開か
12日の中国・上海株式市場は3営業日ぶりに反発した。上海総合指数の終値は前週末比23.7481ポイント(0.67%)高の3547.8362ptだった。中国の金融緩和や、前週末の米株高など海外株式相場の上昇を受け、中国株式市場への資金流入期待が強まった。新興企業向け市場の創業板指数をはじめ深セン株が大きく上げ、投資家心理を明るくした。創業板指数は前週末比3.67%高の3,534.763ptと、人民元ショック前の2015年6月以来およそ6年1カ月ぶりの高値を付けた。深セン総合指数も同1.98%高の2,485.147ptと大幅高だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで16億4200万元の買い越し。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、美的集団(ミデア・グループ、000333)などが買い越しとなり、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが売り越しとなった。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆3178億元と、前週末(1兆1276億元)から17%増えた。
13日の中国本土市場は政策関連銘柄中心に確りの展開か。中国のハイテク分野を管轄する中国工業情報化省が12日、サイバーセキュリティー産業の育成を加速する3カ年計画の草案を発表した。計画案によると、重点技術は高速通信規格「5G」、クラウド、人工知能(AI)、ビッグデータ。産業分野では自動車、製造業、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」、スマートシティーが挙げられた。中国政府は2023年にサイバーセキュリティー産業の規模を20年の1.5倍の2500億元(約4兆2500億円)まで引き上げるとし、米中でハイテク分野の対立が激しくなるなか、技術開発を支援し、欧米企業に対抗できる中国企業を育成する方針とも伝わっている。関連銘柄に物色の矛先が向かいそうだ。
(マーケット支援部 井上)