<2025年のNYダウ予想レンジ> 41,000~50,000ドル
・2025年の米国株式市場は、概ね堅調な相場展開を想定も、インフレ再加速には注意したい
・利下げ、規制緩和や減税等の期待が相場を下支え
・活発なデータセンター投資が幅広い産業に波及
2025年の米国株式市場は、FRBの粘り強い利下げ継続期待と次期トランプ政権の規制緩和や減税等が大企業や中小企業に恩恵となろう。また、関税は国内の製造業復興を後押しし、米国の働き手に資するとの期待感が台頭することで、米国株への追い風が吹きやすいとみる。NYダウの予想レンジは41,000~50,000ドル程度を想定。
25年前半はトランプ次期大統領による政策発表やその期待に支えられ、堅調な展開を想定する。序盤の年明け1/20にトランプ次期大統領が正式に就任する。ほどなく行われる一般教書演説で主要な政治課題を確認し、言及されるであろう個別の政策項目への期待とともに株価の上昇を見込む。大統領選に勝利してから様々な追加関税を導入する考えを繰り返し表明しているトランプ氏だが、株式市場の混乱やインフレ誘発の懸念を踏まえて、就任後すぐの実行可能性は低いと見る。関税引き上げも、相手に強い姿勢を示し譲歩を引き出す交渉術と見られ、実際は時間をかけて行われる見通し。
年後半も、規制緩和や減税等が徐々に浸透し、恩恵を見込む企業による活発な投資を好感する形で米国株式市場は上昇すると予想。
ハイテクセクターが米株高を主導した24年同様、AI開発とデータセンターへの投資拡大の潮流は25年も継続する可能性が高い。IEA(国際エネルギー機関)によると、世界のデータセンターの電力消費量は26年に1000TWh以上に達する可能性があるという(22年は約460TWh)。データセンター発展による恩恵は半導体等のハイテク分野に止まらず、電力やエネルギー、不動産等周辺インフラ産業への広がりが期待される。
基礎的関税を中心とするトランプ次期大統領の政策が実現すれば大幅な増税となり、その税収を所得税減税継続の原資に充てるとしている。関税の引き上げ、不法移民の強制送還等が消費者物価の押し上げにつながる可能性がある。バイデン政権の支持率がインフレにより急落したことを思えば放置できない課題となりそう。
(12/19朝記 投資情報部 清水)