雇用の減速で生じた景気の先行き懸念は和らぎつつある
8/26~30の米国株式市場は、一進一退の展開を想定。
8/15に公表の7月の小売売上高は底堅い伸びを見せ、雇用の減速で生じた景気の先行き懸念が和らぎ、8/19にはS&P500、ナスダック総合は共に8日続伸となった。もっとも強い経済指標が続いているだけに利下げに対する期待がトーンダウンする可能性もあり、上値が重くなることも想定しておきたい。また、S&P500は9月に過去3年連続で下落している(左下図)。それぞれの年の8月の終値と9月の終値を比べると21年(-4.7%)、22年(-9.3%)、23年(-4.8%)と下落幅も大きい。季節性を考えるなら戻り売りも視野に入れるべきか。
8/28にエヌビディア(NVDA)の5~7月決算発表が予定されている。次世代GPUである「Blackwell(ブラックウェル)」の量産出荷の遅れも伝わっており、成長鈍化が懸念する声もあるようだ。決算発表時には業績と合わせて今後の成長戦略等の経営陣のコメントに注目したい。
米大統領選挙の投開票まで残り約2カ月半となる中、8/16に民主党の大統領候補であるハリス氏は経済政策を発表した。住宅や食品の価格抑制に重点を置いた内容で中間層への支援拡大を打ち出すようだ。法人減税や関税引き上げで企業支援を打ち出す共和党のトランプ氏に対し生活者に寄った内容である反面、企業や投資家には厳しい内容と言えよう。選挙戦は接戦となりそうで、投票日までは両候補者の経済、外交等の政策に関する発言に市場が神経質になる場面もありそう。
(8/21記 投資情報部 岩井)