ポジションは軽くなった印象
10/21-10/25の米国株式市場は、引き続き米企業業績の動向を見極めながらも、上値余地を試す展開を想定する。
足もと決算発表が本格化しており、決算が好調だったジョンソン・アンド・ジョンソンやJPモルガンが相場の牽引役となっている。
今年のETFの資金フローを見ると金融は逆イールド、ヘルスケアは民主党の予備選や薬価問題が災いし、資金が流出傾向にあった。
決算で利益が予想を下回ったゴールドマンサックスも発表日の引け時点までには買い戻されてきており、ETFのフローと合わせて考えると、これまでの資金流出を受けて、全体的にポジションは軽くなってきているような印象を受ける。
10/23はマイクロソフト(MSFT)や10/24はアマゾン(AMZN)、インテル(INTC)、ビザ(V)など、米主要企業の決算発表が本格化する。米国の消費の動向やソフトウェア投資、データセンター向け投資の動向を占う上でも重要な企業が多く、決算内容に注目していきたい。
米中が部分合意
10/11に米中が貿易摩擦に関して部分的暫定合意に到達した。中国は米農産物の購入や通貨政策の透明性の向上、米国は10/15発動予定の追加関税発動の先送り、為替操作国指定の見直しの検討などが合意されている。ただ、ファーウェイ問題は今後協議することに留まり、中国の補助金政策の見直しは先送りされ、難題は残った印象だ。米中問題を受け、米国は製造業の設備投資の減速、農産品の対中輸出も激減、一方中国は対米輸出が大幅に減少している。このような状況も両者に暫定合意を急がせたものと思われる。
課題の残る米中問題だが、S&P500の2019年3Q決算の市場予想EPSは、前年同期比3.0%(10/16時点、Refinitiv集計)の減益となっており、米中貿易摩擦の長期化はある程度織り込まれていると考える。JPモルガン等の金融株の決算が示唆する通り、米国の国内経済自体は健全だと思われる。米中貿易摩擦が米国経済に及ぼす悪影響の最悪シナリオは回避できる公算が高まっており、上値を試す展開か。
(10/17記 マーケット支援部 藤本)