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今月の特集記事【特集2】グッドベビー


乳幼児関連は消費セクターの中でも比較的ディフェンシブな分野とされる。少子化や晩婚化、生活様式の変化などにも左右されやすいが、子供向けの出費増は厭わないという消費者意識が市場を支えている。

ベビーカーにかける創業者の思い

研究開発センターは創設時の本社建物を活用

「一人っ子政策」を撤廃した中国でベビー・マタニティ市場への成長期待が高まって久しい。出生者数は2015年に前年比減少となったが、新政策(二人っ子政策)実施の初年度にあたる16年は前年比7.9%増とプラスに転じた。17年は同3.5%減になったものの、15年を4.1%上回っており、政策の効果がうかがえる。新生児のうち2人目の子供が全体の51.2%を占めたのも特徴的だ。

この市場でさらなる成長を狙うのが、乳幼児用耐久消費財で中国最大手の好孩子国際HD(グッドベビー、01086)だ。日本にも進出しており、ブランド名を聞いたことがある方もいるかもしれない。買収した「CYBEX(サイベックス)」や「Evenflo(イーブンフロー)」名でも展開している。

同社は、上海市から車で30分の距離にある江蘇省崑山市にメインの製造工場と研究開発センターを構える。同市は人口約160万人の中小都市だが、台湾の電子企業が多く進出しており、さながら企業城下町のような趣がある。上海からのアクセスが良好で、不動産価格も比較的安価なのが人気の理由だ。

グッドベビーは、数学教師だった宋鄭環氏が1989年に設立した企業だ。宋氏の頭にあったのは、子供達を「安全かつ利便性が高いベビーカーに乗せてあげたい」という素直な気持ち。この一心で、「押せる」「寝かせられる」という基本機能に加え、揺りかごのように「揺らせる」、赤ちゃんが歩く練習ができる「歩ける」という機能を備えた製品を開発し、当時大きな話題を呼んだ。IR担当者は「同モデルのベビーカーは世界中で3000万台以上売れた」と自慢げに話す。

同社は中国国内9カ所、海外2カ所に製造工場を構え、1万4000人の従業員を有する。前述のように、近年では海外の同業企業を傘下に収めるなど、企業規模の拡大と国際化を積極的に進めている。

OEM中心から自社ブランドをメインに

展示場には時速80キロの衝突にも耐えられるチャイルドシートが飾ってある

同社はかつて、売上高の70%をOEM(相手先ブランドによる製造)事業が占める、いわば「下請け企業」だった。転機となったのは14年。OEM供給先だったCYBEXとEvenfloを買収し、自社ブランドに組み込んだのだ。例えるならば、受託製造大手の鴻海精密工業(ホンハイ)がシャープを買収したようなものだろうか。

翌15年から業務構成が劇的に変わる。自社ブランド製品の対売上高比率は75%となり、その後も80.3%(16年)⇒84.6%(17年)⇒86.2%(18年中間期)と右肩上がり。全体の粗利益率も29.5%(15年)⇒42.0%(18年中間期)へと大幅に上昇した。同社の劉同友氏(財務担当役員)は「自社ブランドが中心となり、業績も好調」と自信を示す。

独自のイノベーション力も感じられる。折り畳み後の大きさが世界最小というギネス記録を持つベビーカーは、片手で軽々と持ち上げられ、リュックのように背負うこともできる。消費者目線を追求した成果が現れている一品だ。時速80キロの衝突にも耐えられる新型のチャイルドシートについて、開発担当責任者は「欧米の安全基準値は時速50キロ。しかし、我が社の基準値である時速80キロを見て、彼らは基準値を見直すことになった」と誇らしげだ。


作業服姿から清潔感が感じられる製造ライン

ベビーカーの製造工場で驚いたのは、各チームの責任者の給料明細が貼られていたこと。製品検査チームが毎日製品をチェックし、その評価が給料に反映されているようだ。「製品作りは品質が一番。従業員はそれを自負して作業に取り組んでいる」と工場長は力強い口調で話す。

製造ラインでは約1000人の工員がキビキビと働いていた。ミーティング用スペースでは、製造と検査チームが一緒に部品の問題解決に向けて話し合っている。同工場の1日当たりの生産能力は最大1万台。ただ、ほとんどが手作業で、自動化までには時間がかかるようだ。

拡大続く市場、「高品質」がキーワード

同社のベビーカーの中国市場シェアは約25%で首位。一方、ブランド認知度は95%超と高く、シェア拡大余地はまだ大きいと見込んでいる。市場全体の販売台数も1500万台(16年)⇒1780万台(17年)と増加傾向。チャイルドシートの市場シェアは約5%と低めだが、17年から上海で着用が義務化され、ビジネスチャンスのさらなる拡大が期待される。

乳幼児関連製品を購入する際、消費者は値段より品質を重視しているという調査結果がある。「良いものなら高くても買う」ということだ。生活水準の向上に伴い、このような意識は内陸部を中心とした三~四線級都市にもさらに浸透していくだろう。中小メーカーの淘汰が一層進むと見られる市場で、技術や資金面で優位に立つ大手の動向が注目される。存在感をますます高めるであろうグッドベビーの動きも注視していきたい。


(上海駐在員事務所 山藤)

※文中の写真は全て東洋証券撮影

ライバル:伊利と蒙牛

中国を代表する乳製品メーカーと云えば内蒙古伊利実業集団(伊利600887/上海:"伊利")、中国蒙牛乳業(02319/HK:"蒙牛")、光明乳業(600597/上海)のビッグ3が有名だが、売上でも利益規模でも上海市に本拠を置く光明が少し水をあけられており、伊利と蒙牛が業界首位を争っている。

両社の製造拠点は共に内蒙古自治区のフフホト市郊外。伊利は1993年に市内の金山開発区に設立され、1996年上海A株市場に上場した、純粋国内企業。一方蒙牛も実質中国企業だが、2004年にケイマン諸島で登記されて、同年香港メインボードに上場を果たしたレッドチップ銘柄、本社所在地は香港島。

両社はもともと同一企業であり、ルーツは1950年代の「フフホト"回族"乳製品工場」に遡る。蒙牛は、その後、株式会社に転換を遂げた伊利で副社長を勤めていた牛根生(60歳)氏が、数人の部下を連れて伊利を去り、1999年に現在の蒙牛の前身を立ち上げたのが起源。

従って蒙牛は民営企業としてスタートしたのだが、2008年に化学原料のメラミン物質が混入された乳幼児用粉ミルク事件が発生し、中国の乳製品業界を揺るがす大事件となった。

事件の主役は河北省の企業であったが、伊利や蒙牛を始めとする同業からも一部メラミンが検出されたことから、事態を重視した中国政府は蒙牛に国営食糧メジャー"中糧集団"を大株主として送り込んだ。

現在蒙牛筆頭株主(31.43%)の"中糧乳業投資"とは、中糧集団、仏ダノン、丁アーラ・フーズによる中欧合弁企業であり、蒙牛は国内外メジャーのブランド力を活用しつつ体質強化に取り組んでいる。

これに対し、伊利の場合、香港中央結算公司に次ぐ実質筆頭株主は"フフホト投資有限公司(8.86%)であり、伊利は引き続き地方政府系の株式会社として活動中。中国の乳製品業界は当面伊利(地方政府系)と、蒙牛(国有企業系)の二強時代が続くだろう。


(主席エコノミスト 杉野)

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