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今月の特集記事【特集1】成長市場で「質」を重視、変わる中国企業 ~現場で見るリアルチャイナ、消費セクター最前線~


中国の消費現場は奥深い。日本では考えられない発想が生まれ、日々新たな製品が開発されている。しかし、食品や消費財などジャンルを問わず、現場で実感するのは「安心・安全」「クオリティー」など製品の本質だ。中国製品に対する「安かろう・悪かろう」のようなイメージは過去のもの。乳業の代表的企業2社と、ベビーカー製造大手への取材を通じて、その最前線を追う。

アジア最大の乳製品企業に成長した伊利

回転式パーラーは約10~12分で1周する

北京から空路で約1時間。内モンゴル自治区の首府、フフホト(呼和浩特)に降り立った。11月半ばだが、夜間は零下10度近くまで冷え込む。モンゴル語の看板と乾燥した冷気が私たちを迎えてくれた。

人口311万人を誇るこの街は「中国乳都」(中国乳製品の都)と呼ばれる。「伊利」と「蒙牛」という二大乳製品企業の本社があり、街中にも両者の大きな看板が目立つ。火鍋料理屋では注文の際に「ヨーグルトも付けますか?」と聞かれた。乳製品が市民の生活に根付いていることがうかがえる。

市内から車を約1時間走らせ、内蒙古伊利実業集団(600887)の直営牧場「敕勒川精品ナイ源基地」(「ナイ」は女偏に乃)に向かう。250ヘクタール超の敷地で約1万5000頭の乳牛を飼育。圧巻だったのは、約60頭の搾乳が同時にできる回転式のミルキングパーラー。ガラス越しではあるが迫力満点だった。



整然とした伊利の製造工場内

同社は中国全土で2400カ所余りの牧場を運営している。そのうち、直営(自営)は2割ほどで、残りは農家や個人経営の小型牧場との共同運営だ。小規模経営者は伊利と提携することで初期投資コストが省けるほか、乳牛の搾乳量や品質に応じて「配当金」が分配される。両者の「ウィン・ウィン」関係につながる協力体制の構築は、伊利の企業ブランドの向上にも一役買っている。

同社の前身は1956年設立の牧場経営組織。87年に株式会社化し、現社名に変更した。96年に乳製品会社としては初となる株式上場(上海)を果たし、今やアジア最大の乳製品企業にまで成長。常温保存可能なロングライフヨーグルト「安慕希」が売れ筋商品だ。2008年の北京夏季五輪に続き、22年の北京冬季五輪でも公式スポンサーになるなど、知名度も上がっている。

工場を案内してくれた入社3年目の若手社員に、「ライバルと比べて伊利の強みは何だと思いますか」と多少意地悪な質問を投げかけてみる。すると、涼しげな顔で「社員全員で同じ価値観を共有し、同じ目標に向かっていることでしょうか」と答えてくれた。商品力の向上はもちろん、社員一丸となった経営を重視する伊利。フフホトを代表する企業で、就職先としての人気も常に上位だという。

アライアンス強化に活路を見出す蒙牛

比較的派手な「蒙牛」の販売コーナー

もう一つの乳業の雄、中国蒙牛乳業(02319)の本社工場もフフホト市内から車で1時間ほどのところにある。同社は、伊利の副社長を務めていた牛根生氏が、99年に社員7人を引き連れて独立し、立ち上げた企業だ。04年には早くも香港上場を果たし、伊利に続く乳業第2位の地位を築いた。

蒙牛の名を一躍全国区レベルにしたのは、04年に放送開始し、一世を風靡したオーディション番組「超級女声」。同社は05年から冠スポンサーになり、番組内はもちろん、CMなどの各種媒体で「蒙牛」ブランドを前面に押し出した派手な広告戦略を繰り広げた。18年のロシアW杯でも公式スポンサーとなり、メッシ選手を使った宣伝広告が話題になった。若者向け戦略の一環なのだろうか、工場には社会科見学と思しき小学生の団体の姿があった。将来の消費者として、今から取り込んでおく狙いがあるのかもしれない。

経営に激震が走ったのは08年のこと。この年、粉ミルクへの基準値を超えたメラミン混入が発覚し、死亡者も出る大騒動となったのだ。消費者の国産乳製品離れが進み、伊利も蒙牛も赤字に転落。蒙牛が翌09年に政府系食品大手の中糧集団(コフコ)から出資を受け入れるきっかけにもなった。現在は中糧集団が3割超の株式を握り、実質的に国有企業となった同社は、その後もデンマーク同業のアーラ・フーズ、仏食品大手のダノンの出資受け入れなどを通じて経営基盤を強固なものにした。一方で、粉ミルク中国大手の雅士利国際(01230)の買収や、原料乳生産の中国現代牧業(01117)に出資するなど、アライアンス強化を進めている。

伊利と蒙牛の違いは「稼ぐ力」だ。売上規模に大差はないが(伊利は396億元、蒙牛は345億元)、売上高純利益率は前者が8.7%、後者が4.5%(いずれも18年6月中間期)。蒙牛が、高利益率を誇るハイエンド商品が好調な伊利と伍していくためには、新たなスター商品の開発も今後の課題のように思える。

成長見込まれる乳製品市場

年間1人当たり 牛乳消費量(17年)

中国では元々、乳製品を口にする食文化が育っておらず、市場が立ち遅れていた。現在、牛乳の1人当たり年間消費量は日本の4割程度にしか過ぎない。ただ、健康志向やライフスタイルの変化に伴い、将来的に有望なマーケットとされている。

注目はヨーグルト市場だ。17年まで7年連続で二桁成長を遂げており、牛乳市場を上回る1192億元のマーケットに成長した。製品の中心はフレーバー配合の機能性ヨーグルト。特に前述の「安慕希」のようなドリンクタイプの存在感が大きい。

乳製品コーナーが目立つフフホト市内のスーパー。取り扱いブランドはもちろん伊利と蒙牛が中心。「他社商品は誰も買わない」という現地市民の極端な声も聞かれるほどだ。

中国国産ブランドの失墜を招いたメラミン混入事件から10年。内陸部の内モンゴルで切磋琢磨する乳業大手2社は、いずれも「安心・安全」を最重要視している。乳製品市場の拡大に合わせ、両社のさらなる成長も期待できるだろう。


(上海駐在員事務所 奥山、投資調査部 陳)

※文中の写真は全て東洋証券撮影

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