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今月の特集記事【特集2】7~9月GDPは+6.5%へ減速、今後は安定化へ ~米追加関税の影響は限定的で景気下支え策効果が顕在化~


7~9月の実質GDP成長率は前年同期比+6.5%と、2009年1~3月以来の低い成長率にとどまった。ただし、9月は政府によるインフラ投資拡大の効果が徐々に顕在化しつつあることが示された。米国向け鉄鋼輸出は25%の追加関税にもかかわらず好調。今後、米国向け輸出が鈍化した場合でも、一帯一路対象国向けの輸出拡大が相殺すると期待される。政府の景気下支え効果により景気は安定に向かっているとみられる。


図表1:実質GDP成長率と鉱工業生産

10月19日に発表された7~9月の実質GDP成長率は前年同期比+6.5%と、4~6月実績(同+6.7%)と市場予想(同+6.6%、Bloomberg)を若干下回り、2009年1~3月以来の低い成長率にとどまった。支出項目別の内訳は不明ながら、毎月の経済統計をみると、7~9月の輸出は前年同期比+11.6%(4~6月同+11.0%)と堅調に推移した。一方、固定資産投資は、政府によるシャドーバンキング抑制の影響が残り、同+4.5%(4~6月同+5.2%)へ鈍化し景気の足を引っ張ったようだ。


図表2:固定資産投資の推移

同日に発表された9月の主要経済指数はマチマチであった。小売売上高が前年同月比+9.2%(8月同+9.0%)と伸び率が高まったものの、インフレを考慮した実質ベースでは8月、9月共に同じ伸び率。固定資産投資は9月単月で同+6.0%と、2カ月連続で伸び率が高まった。部門別では製造業の設備投資は減税や利益増を背景に拡大傾向にある。インフラ投資は、7月に政府が拡大方針を示したことから、9月は4カ月ぶりにプラスに転じた。一方、鉱工業生産は同+5.8%(8月同+6.1%)。販売不振の自動車は生産の伸びが鈍化したものの、インフラ投資関連の鉄鋼は伸び率が高まった。9月は政府によるインフラ投資拡大の効果が徐々に顕在化しつつあるといえよう。


図表3:輸出の推移

一方、9月の米国向け輸出は、米追加関税の影響で前年同月比伸び率の鈍化が事前に見込まれたものの、米国の好景気等を背景に同二桁増となった。鉄鋼製品輸出は3月後半に発動された25%の追加関税の影響で、3月こそ同▲17.1%の大幅減となったものの、米国内価格の上昇等を背景に8月は同二桁増と伸び率が回復した。追加関税の影響は限定的といえよう。9月後半に2000億ドルの中国製品に10%の追加関税が発動されたため、10月以降にその影響が出てくるとみられるが、追加関税率が10%と鉄鋼製品に対する追加関税率25%よりも低いことや足元の人民元安による輸出競争力の改善効果等を考慮すると、影響はマイルドなものになると推測される。

更に、中国は一帯一路対象国へ融資や投資を拡大し、同地域の開発に必要な資材を中国から調達している。このため、同地域向け輸出(2017年:輸出全体の4割強)の伸びは徐々に高まり、7~9月は前年同期比+17.4%となった。今後、輸出の2割弱を占める米国向けの輸出が多少減速した場合でも、一帯一路対象国向けが拡大し、米国の減速分を相殺すると予想される。

米中貿易摩擦は長期化の様相を呈しており、11月6日の米中間選挙以降も継続すると見込まれ、中国企業の投資意欲や消費者の消費意欲が減退する可能性がある。ただし、10月からの所得税減税に加え、過去の景気下支え策の累積効果が一段と鮮明となり、景気は徐々に安定へ向かうとみられる。10~12月のGDP成長率は7~9月同様に前年同期比+6.5%程度と見込まれる。

2019年についても、政府は住宅ローン控除を含むGDP比1%程度の所得減税等を検討しており、消費拡大が期待される。政府は中小企業の起債拡大等の金融支援も図っており、今後も金融財政双方の支援により景気の安定化に努めていくだろう。


(マーケット支援部 白岩)

GDP成長率の構成要素

以下『』は人民日報日本語版が伝えた「経済参考報」記事の要旨。『9月19日、中国社会科学院が編纂した「経済青書夏季号:中国経済成長報告(2017〜2018年)」が北京で発表された。概要以下の通り①中国経済は高度成長の段階から高い品質の発展の段階に移行した。②18年の主要マクロ経済指標は安定している。③19年のGDP成長率は6.5%を下回ると予想される。④18年上半期の中国経済に対する輸出牽引効果は継続しておらず、成長は主に内需による。⑤物価は安定、通年インフレ率は2%以下と予想。⑥今後の課題は労働生産性と全要素生産性の同時上昇。』

これは中国の公式発表に等しく「19年は6.5%を下回る」とは、構造改革や米中貿易摩擦で奮闘する中国経済に対する当局サイドの「政治的配慮」も込められたプラス思考の予想と見るべきであろう。

リーマンショックの翌年、2009年の中国GDP成長率9.2%に落ち込んだが、当時のGDP構成要素は、投資+8.0%、消費+5.3%、純輸出▲4.1%であった。

GDP成長率に占める純輸出(輸出入の収支尻)の貢献度は時期によってプラスマイナスあるものの、平時は±1%以内で推移。しかし非常時には▲4.1%のような異常値もあり得ることだ。米中貿易戦争はリーマンショックに匹敵する非常時ではないか。米中貿易戦争がGDP統計に反映されるのはこれからだ。

3Qの中国GDP成長率は前年同期比6.5%増。これに対する評価は①内憂外患下にしてはまずまずの水準、②世界的な金融危機下にあった09年1Q以来の低水準、と毀誉相半ばしているが、皮肉なことに3Qは米国の関税引き上げを控えた外輸出企業の駆け込み出荷で輸出がプラスに働き、一方固定資産投資はハイリスク融資への規制等でマイナスに働いた。

しかし中国は社会不安の高まりを水際で防止すべく、金融緩和と公共事業拡大を骨子とする景気下支えに舵を切りつつあり、今後は一転、GDPに対する貢献度合いとして輸出がマイナスに、固定資産投資がプラスに働くネジレ現象が生じ、GDP予測を更に複雑化させることになりそうだ。


(主席エコノミスト 杉野)

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