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今月の特集記事広東がアツい!ハイテク・次世代産業が後押し ~ベイエリア構想で発展深化へ、香港・マカオと連携強まる~


改革開放経済の中心地として発展を遂げてきた広東省。交通インフラの強化、新ビジネスの台頭、国家的なベイエリア構想などをテコにさらなる成長を遂げようとしている。その最前線を追った。

「通勤新幹線」が快走中

「CRH6」は日本の特急列車のようなイメージ

「23番線の列車は珠海行きです」――。

広州市郊外の高速鉄道ターミナル「広州南駅」。アナウンスに導かれてホームに降りていくと、見慣れない列車が入線してきた。車体には高速鉄道車両を示す「CRH6」の文字。車内には通勤電車のように手すりが設置され、ミニロングシートもあるなど、いわば「通勤用特急」の趣だ。

広州~珠海間を結ぶ「広珠城際鉄路」。在来線とは別の専用軌道で、2017年から「CRH6」型車両が運行している。最高時速200km、立席を合わせると最大で1500人が乗車可能。座席は他の高速鉄道と比べると若干の簡素感を感じる。車内ではビジネスマンから若者まで様々な乗客の姿が見られ、珠江デルタ西側における交通の大動脈として市民生活にすっかり溶け込んでいるようだ。1時間ほどで終点の珠海に到着。列車を降りると、すぐに「マカオに行きませんか?」という半ば強引な勧誘攻めに遭う。徒歩でマカオに渡れる「境界の街」を改めて感じる瞬間だ。

80年代から発展してきた中国・華南エリアの珠江デルタが、香港、マカオと一体化してさらなる飛躍を遂げようとしている。キーワードは、17年3月の全人代で言及された「粤港澳大湾区(広東・香港・マカオビッグベイエリア)」構想だ。インフラ強化、金融市場の双方向開放の拡大、IT産業の発展などが主な内容。18年内に、香港・珠海・マカオを結ぶ「港珠澳大橋」、初めて香港に乗り入れる高速鉄道「広深港高速鉄道」が開通予定で、まずは交通面での一体化が大きく進みそうだ。将来的には、ニューヨーク、サンフランシスコ、東京と並ぶベイエリアへの成長を目指す。人口1億人を擁する粤港澳大湾区。国家的な大構想が動き出した。

好対照な華南の「家電2強」

広東省は海外資本を活用しながら、電子機器・部品やアパレル、プラスチックなどの製造業を中心に発展してきた。今回(17年12月)、同省に拠点を置く美的集団(000333)と珠海格力電器(000651)を訪問する機会を得た。いずれも白物家電がメイン事業だが、戦略や企業カラーは大きく異なっている。


美的集団の本社ビルは現代的

美的集団は、広州市内から車で1時間弱の仏山市順徳区に本社を構える。「美的大道」という通りがあるなど、同エリアはさながら美的の企業城下町だ。スタイリッシュな本社ビルが訪問客を迎えてくれる。

同社は、エアコンや洗濯機、冷蔵庫などの白物家電やキッチン家電を中心とする総合家電メーカー。16年には東芝の白物家電事業を買収した。独クーカの買収を通じてロボット事業にも進出し、ハイテク企業へと変貌を遂げつつある。

同社のIRマネージャー、劉成思氏は「東芝の家電事業買収により、5000件以上の知的財産権を取得した。東南アジアなどで特に知名度が高い「東芝」ブランドを通じて、世界展開が容易になる」と強調していた。買収先の技術を生かしながら事業発展を図るのが美的の方針だ。昨今、中国系企業による日本企業の「爆買い」が目立ち、技術流出などの警戒感もあるが、劉氏の口調からは「東芝から学びたい」という印象をひしひしと受けた(同氏は他のアナリスト説明会でも同様のことを話しており、決して当社へのリップサービスではないと思われる)。

ロボット事業は、クーカ(産業用ロボット中心)に加え、安川電機との合弁企業(介護サービスロボット中心)、川崎重工業との提携で展開中。この効果もあり、同社は18年は前年比15%の増収増益を予想。今後3~5年も年平均10%の増収は可能とする。

一方、珠海格力電器は珠海市に本社を置く地方国有企業だ。同社たたき上げで、「鉄の女」の異名を持つ董明珠女士がトップに君臨。訪問時に、董女士がテレビ局のインタビューを受けている場面に遭遇した。堂々とした声がホール全体に響き渡っていたのが印象的だった。

同社は中国エアコン市場の最大手。売上構成比率の81.33%(16年)をエアコンが占める「一本足経営」が特徴だ。この点、美的がエアコン(売上構成比率42%)、小型家電(同27.2%)、洗濯機(同10.1%)と経営資源を分散させているのとは対照的だ。

厳かな趣が感じられる珠海格力電器の本社ビル

IR担当の譚海雁氏との面談でも、やはりエアコンの話題が中心となった。17年は市場全体で販売が好調だったが、譚氏は「18年は住宅販売低迷の影響が懸念され、17年のような高成長は見込みにくい」と語る。一方、「エアコンの1人当たり保有台数の低さや都市化の進展などを考慮すると、中国のエアコン市場は中長期的には成長余地はまだ大きい」との認識を示した。ロボットや新エネルギー車などの新事業の話を振ってみたところ、「まだ基礎研究の段階にとどまっており、本格的な事業展開には至っていない」と慎重な答えが返ってきた。同社は、17年は15%増益、18年は二桁増益を見込んでいる。

両社の特徴は、美的は「民間企業・多角化経営」、格力は「国有企業・一本足経営(選択と集中)」と大きくまとめられよう。本社ビルの外観からも、前者が「前進革新志向」、後者が「保守安定志向」という違いが感じ取れる。同じ家電大手だが、投資に際しては若干カラーが違う企業ということを覚えておきたい。

自動運転バスがひっそり試運転中

そろりそろりと走る自動運転バス

師走にもかかわらず、暖かい空気が吹き抜ける深セン。目の前をスーッとバスが通り過ぎた。半袖姿の運転手はハンドルから手を離している。これは一体......。

香港にほど近い福田保税区。自動運転バスのテスト走行が始まったと聞き、アポなしで現地を訪れてみた。人通りがまばらな同保税区内を、小型バスが時速10~15km程度でゆっくりと走っている。車体には東風汽車やZTEのロゴが見られた。IoTを駆使した最新スマートバスだ。

交通運輸部が支援し、BYDやテンセント系の企業も参画する官民一体のプロジェクト「阿爾法巴(alphaba)」。17年12月からスタートしたテスト運転は、深センバス集団と、自動運転技術を手がける深セン市海梁科技が共同運営する。政府、IT系企業、公共交通事業者などがタッグを組み、次世代スマートバスの実用化に向けた取り組みが、深センの一角でひっそりと、しかし着実に行われていた。

勢いのあるドローン最大手

DJIのドローンのデモ操縦中

ドローン世界最大手のDJI。地下鉄の深セン湾公園にほど近いところに世界初の旗艦店がある。いわばドローンのショールームで、個人の趣味用から特撮用の本格的なものまで、同社製の各種ドローンがずらり。シアタースペースではドローンで撮影したダイナミックな空撮映像に圧倒される。来客者には外国人も多く、興奮気味に製品を試す姿が見られた。DJIの強みと勢いを感じ取れる場所だ。

注目製品は、手のひらサイズのコンパクト空撮ドローン「SPARK」だ。縦横サイズはいずれも約15cmで、重さはわずか300g。3299元(約5万5700円)から購入できる。

「華強北」で見る中国消費の趨勢

「折り畳み式電子ピアノ」の実演販売

そのドローンが飛び交うのが、もはや世界でも有名な深センの電気街「華強北」だ。至る所でドローンやロボットの「実演販売」が行われている。商業ビルの中には小さなブースや小型商店が数えきれないほど入居しており、電子製品や部品で手に入らない物はないと言われる。深センのスタートアップ製造業者の中には、ここで低コストで部品を調達し、試作を重ねて成長していったところも多い。

各店舗で、ビットコインのマイニングマシンが多く売られていることに驚いた。中国政府の規制は強まるばかりだが、需要はまだまだあるのだろうか。また、人気が高かったのは、「折り畳み式電子ピアノ」。音質も悪くなく、200元~500元程度(約3400円~8500円)で購入できる。また、「スマート」「健康」と名の付くヘルスケア製品も売れ筋のようで、マッサージ用品などを多く見た。音楽文化と健康志向。中国社会の「質の向上」を象徴する光景とでも言えるだろうか。

拡大する深セン経済、不動産も高騰中

新築住宅 平均価格

「深センのGDPが香港を超えた」――。18年年初の大きなニュースに目を奪われた。中国現地報道によると、深セン市の17年域内総生産(GDP)が2兆2000億元に達し、香港を上回ったようだ。深セン市は、前年3位の香港を抜き、上海市(3兆元)、北京市(2兆7200億元)に次ぐ中国第三の規模の都市に浮上したことになる。外資を積極的に導入し、サービス業を重視し、近年はハイテク産業の強化に乗り出している。1979年に誕生した新しい都市の「成り上がり成長」だ。

深センの1人当たりGDPは中国全体の3倍強。カネとヒトが集まり、新たな技術や富を生み出し、それが所得水準と消費能力の向上に現れる。

一方で、不動産価格も上昇中だ。深センの新築住宅価格は16年4月に前年同月比62.4%という上昇率を記録。全体的な物価も上昇しており、生活コストに耐え切れず、やむなく故郷に帰る者も少なからずいると聞く。住宅価格は直近では横ばい推移だが、1平米当たり5万5799元(約97万6000円、17年末時点)と、北京や上海を上回る。これに基づくと、中国で一般的な70平米のマンションを深センで購入する場合、立地にもよるが大体6835万円が相場だ。

若い街で新ビジネスが急速台頭

深センは新しいサービスや技術がすぐに生活シーンに反映される街でもある。スマートフォン(スマホ)を使ったキャッシュレス決済やタクシー配車、シェア自転車、デリバリーサービスの普及も早かった。専車(ハイヤー)の混雑が問題になれば、深セン空港がハイヤー専用乗り場を設けてしまうなど、対応も素早い。地下鉄の建設速度も目を見張るものがある。05年に運営を開始したばかりだが、路線網はすでに東京(304.1キロ)とほぼ肩を並べ、30年には1000キロまで延伸する計画だ。

新しいモノを貪欲に取り入れる深セン市民。その原動力は若さだ。市民の平均年齢は33歳。年金問題の心配が全くない都市の一つとも言われている。

深センで地下鉄に乗ると、気が付けば周りは若者ばかり。間違いなく、「70後(70年代生まれ)」の筆者が車内で一番の「年寄り」だ! 若い街で自らの老いを知る......というわけではないが、この街のエネルギッシュさを感じる一瞬である。これからも若い力で成長を遂げるであろう深センと、この力に引っ張られる広東省の経済に注目してきたい。


「スマホ決済は日常生活の一部」「深センの「時間はカネ、効率は命」という標語」


(上海駐在員事務所 奥山)

※文中の写真は全て東洋証券撮影

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