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中国からの便り

第150回:「橋」のウラで絡む思惑 人とカネの流れは様変わり

橋は大きいが、走る車はまばら...... (撮影)東洋証券

香港国際空港に隣接する巨大なイミグレーションビル。ここから発車するシャトルバスにビジネスマンや観光客が次々と乗り込んでいく。約30分かけて橋を渡れば、そこは中国、そしてマカオだ。

今年10月に開通した、香港と珠海、マカオを結ぶ「港珠澳(こうしゅおう)大橋」。橋梁部の長さ28.9キロは、瀬戸大橋の9.4キロ、東京アクアラインの4.4キロを大きく上回る。船での移動が一般的だった珠江デルタに、新たに「陸路」が加わった。

この中国と香港の一体化推進を象徴する建造物に、現地は歓迎ムード一色......というわけでもない。通行台数は1日当たり3000台余りで、当初想定の3割程度にとどまる。私が乗ったバスは満員だったが、道路はガラガラ。一般車両は複数(例えば香港とマカオ)のナンバープレート所有車しか通行が認められておらず、しかも事前申請が必要なので、市民のマイカー利用はほとんど見かけない。

橋の開通で中国から香港への観光客は増え、香港の商業施設ではまたぞろ「爆買い」が話題になっている。安価で良質な品を買い求める中国人でごった返しているのだ。テレビのニュースでは付近の住民の抗議の声が伝えられていた。曰く「(観光客が)ごみを放置して、住民生活に影響が出ている」。中国の旅行ツアー会社や中国人ガイドが香港で違法に団体客を引率しているケースも多い。広州市政府は取り締まりに乗り出した。

橋の存在意義にも早速疑問符が出ている。中国政府は港珠澳大橋にほぼ平行する形で、珠江を跨ぐ橋やトンネルの建設を計画中。川の右側の深センと左側の中山や珠海を結ぶものだ。「中国内」の移動なので、港珠澳大橋を渡る際に必要な出入境手続き(パスポートチェックなど)は不要。通行制限もなく、所要時間も大幅に短縮されるだろう。

出入境手続きと言えば、高速鉄道で深センから香港に移動したときのことを思い出した。乗車時間はわずか15分なのだが、降りてからが長かった。中国の出国審査の列に、乗車時間の2倍の30分も並んだのだ。外国人用窓口が少なかったせいのようだが、これでは本末転倒である(ちなみに香港側の待ち時間はゼロだった)。

少々細かい話。高速鉄道の香港側の駅(西九龍)では「一地両検」制度が導入されている。これは、香港側と中国側の出入境審査を1カ所で行うもの。卑近な例えで恐縮だが、「中国人が羽田空港で『中国の出国審査』を行う」「日本人がハワイで『日本の出国審査』を行う」のようなイメージだろうか。香港では「自治権の侵害だ!」との声も出たが、親中派は「利便性」を盾に強引に押し通した。

今年は改革開放40周年。この歴史的な年に相次いで開業・開通した「鉄道」と「橋」の背景には、中国政府が進める「粤港澳大湾区」(広東・香港・マカオビッグベイ)構想の一端も感じられる。その歴史を学ぼうと、深センの改革開放博物館を訪れた際、とある資料に目が行った。40年以上前、香港対岸の深センの村では、妻が夫の尻を叩いて「早く泳ぎを覚えて香港に行きなさい!」と言っていたという。海を泳いで香港に密入境し、出稼ぎでカネを稼ぐ。それくらい「彼我」の経済格差は大きかった。数十年後。鉄道に乗り、橋を渡り、中国人が香港にやって来てはカネを落としていく。時代の移り変わりとはこういうものなのだろうか。

(東洋証券上海駐在員事務所 奥山 要一郎)
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