第7回:市場拡大と業界再編が同時進行する「団購」業界
朝、レンタカーで上海近郊の水郷古鎮巡りをした後、ちょっと足を伸ばして蘇州やその近辺に予約した中華レストランでお昼を済ませる。そして市内に戻り、スパやエステの帰りに映画でも見て、夕方にはお洒落なレストランでフランス料理を堪能した後、環球金融中心の展望フロアに上ってバンドの夜景を眺めるか、遊覧船に乗って黄浦江の夜景に溶け込む――。
このような、忙しいほど充実した上海の休日を、さほど懐を痛めることなく過ごすためには、「団購」(Eコマースの一形態である共同購入型クーポンサイトの中国語)を利用するしかないのかもしれない。
中国で最近、最も流行っているオンラインサービスの一つはこの団購だ。2010年前半に中国初の団購サイト「美団」が登場して以来、参入ハードルの低さもあり、新規参入が凄まじい勢いで増えてきた。こうしたクーポンや割引券をうまく使えば様々なサービスを通常料金の半額以下で利用できるため、いわゆる「プチ贅沢」へのニーズが強い若年層や40代以下のサラリーマン家庭を中心に、団購の支持者層も急速に拡大している。一部のファンにとっては、好きな団購サイトをチェックするのがもはや日課となっているほどだ。
グルーポン系まとめサイト「領団網」が発表したレポートによると、中国団購業界全体の2011年取扱高は約216億元(2010年は25億元)に上っているという。団購の取扱商品(サービス)は主に外食、レジャー関連、エステ・スパ、物販その他の4カテゴリーに大別されるが、このうち、外食が件数・金額ともにトップとなっており、映画チケット共同購入の取扱高も年間興行収入のかなりの割合を占めている。
激動の1年であった2011年の中国団購業界を一つのキーワードでまとめると、「米グルーポン社への追随」ということになろう(※グルーポン……共同購入型クーポンサイトの草分け的存在。2008年10月創業。社名はグループとクーポンを組み合わせた造語)。
中国の団購ビジネスは、成功報酬方式の広告代理店と(取扱商品を特定しない)卸売業者の側面を併せ持っている。ディスカウント販売やネット広告がありとあらゆるEコマース分野に浸透している現状では、ベンダーとの関係が不安定な点や、地域限定・数量限定など利用面の制限も多い点など、総じて完成度の低いビジネスモデルを改善、もしくは更に磨きを掛けていかないと将来の存続すら覚束ないと思われる。この意味では、団購のオープンプラットフォームを目指す「聚劃算」の躍進も頷けよう。
| 米グルーポン社の動き | 中国団購業界の動向 |
| 2010年、中国への事業進出の準備 |
◆国内勢上位各社いずれも米グルーポン社による資本参加を拒否 ◆VCやPEからの出資を受け入れるなどして事業規模が急拡大
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| 2月に騰訊と折半出資の「高朋網」を立ち上げるが、右記の競争激化もあり年間で目標の10位進出は果たせず |
◆米グルーポン社に対抗し顧客の囲い込みを図るため大規模な広告投入が始まる(うち満座網が「ドラえもん」をイメージキャラクターに起用) ◆上記の結果、資金力の乏しい中小業者の撤退・廃業が相次ぎ、団購サイトの数は7月の5000件強をピークに年末の4000件未満に激減
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| 11月にナスダック上場。資金調達額は約7億ドルでネット関連企業の米国IPOとしては04年のGoogleに次ぐ規模となったが、上場までには様々な紆余曲折も |
◆国内大手各社(拉手網、窩窩団、美団、満座網など)は株式上場に意欲的だが、米グルーポン社の財務報告の修正を伴う2度の上場延期もあり、団購のビジネスモデルを疑問視する向きが多く、トップバッターで11月上場予定の拉手網でさえIPOを先送りせざるをえなかった ◆「領団網」の推定では、11~12月の実績で中国がすでに米国を上回って世界1位の取扱規模となり、中国最大手の「聚劃算」(アリババ傘下)も米グルーポン社を抜いて世界最大手に躍進したもよう
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(出所)各種資料より東洋証券作成
(東洋証券株式会社 上海駐在員事務所 首席代表 張 岫 / 尹 若芸)
2012年1月30日
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