
東洋証券では、各セクターの担当アナリストの見解をもとに、2012年の中国株の業界天気図を作成した。主要20産業について「晴れ」「薄日」「曇り」「小雨」「雨」の5段階で評価し、11年比での変化も記してある。
比較的業界全体の見通しが良好な「晴れ」は5業界、「薄日」は3業界だった。スマートフォンや3G需要が上向きの通信、電子商取引やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の伸びが期待されるインターネットなどは市場規模の拡大が最大の後押し材料になろう。香港・小売に関しては、中国人観光客の増加を背景に安定的な市場成長が考えられる。原料価格の下落は紙・パルプや公共セクターの追い風だ。
「曇り」の評価は10業界だが、産業動向が改善すると見られる建材・セメント(「雨」⇒「曇り」)や自動車(「小雨」⇒「曇り」)が比較的注目されるだろう。前者は、セメント需要の伸び悩み継続が予想されるものの、積極財政の継続によるインフラ投資の復調や悪材料出尽くし感が意識されそう。後者は、販売台数の2ケタ増への回復を予想しており、特に高級車などニーズの多様化がポイントになりそうだ。
「小雨」の銀行は利ざやの改善の頭打ちや自己資本比率規制の強化などがネガティブ材料だ。「雨」の不動産は、中国政府が12年も不動産引き締め継続の方針を示していることが大きい。比較的体力(資金力)がある大手企業への業界集約が進む可能性もある。
| 5 | 通信、インターネット、公共(電力・ガス・水道)、香港・小売、食品 | |
| 3 | 保険、紙・パルプ、本土・小売 | |
| 10 | 証券、エネルギー(石油)、鉄・非鉄、金、機械、インフラ、建材・セメント、自動車、運輸、医薬 | |
| 1 | 銀行 | |
| 1 | 不動産 |
中国の業界動向は、景気動向や市場トレンド、各社の生産・販売戦略など基本的な要素のほか、良くも悪しくも中国ならではの政策に左右されるケースが多い。産業政策や税制変更、各種規制などがその代表的なものだ。11年7月に浙江省温州で発生した高速鉄道事故の余波で全国の鉄道建設が一時停止状態もしくは工事を縮小したと伝えられたことや、その影響で鉄道部が12年の鉄道建設投資を4000億元(11年は4690億元の見通し)に圧縮する方針を決めたことも、国家的な政策調整が働いたものと思われる。11年末には、北京市や上海市が相次いで中国版ツイッター「微博」(ウェイボー)の実名登録制に踏み切ったが、この背景にも情報統制を進めたい政府の思惑があると見られる。
このような不確定要素が各産業や企業経営にさまざまな形での影響を及ぼすことは言うまでもない。ただ、ファンダメンタルズを中心に長期的視点から見た業界動向を俯瞰することも、動きが複雑な中国株を理解する一助になるのも事実である。
本稿が今年2012年の中国株業界動向を見ていく上での参考になれば幸いである。(奥山)
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